塩対応彼氏の恋愛事情。
「“でした”じゃない。今も好きだよ。」
過去形にはさせない、その物言い。
今の記憶を失った私でも愛してくれているということ。
「…じゃあ、教えてください。」
例えそれがお医者さんに言われた“焦りは禁物”を破る行為だとしても。
「知りたいんです、私が事故にあった日の事。」
そう言うと、水瀬さんは一瞬体を強ばらせた後、コーヒーを1口飲んだ。
「…俺は、莉茉の事守れなかった。」
それは水瀬さんから語られた、私の事と水瀬さんの事だった───。