ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目
 
「でも、1個だけ言わせて」


「何?」


「今日のあやあやも
 世界一カッコよかったよ」


「栗返せ!」


「なんで? 僕、慰めてあげたのに~」


「もとはと言えば
 春がほのかのポストに……」


「入れない方がよかった?」


「……」


「ほののんと、出会わない方が良かった?」


 春輝の言葉に
 俺の心がさわさわと揺れ出す。


 ほのかと出会わなかったら。
 今、こんなに苦しい想いなんて
 しなくてすんだ。

 それは間違いない。


 でも……


 ほのかとの時間は、消し去りたくない。

 俺の宝箱に、大切にしまっておきたい。


 その思い出が
 ずっと俺の心に残っていることで、
 俺を永遠に苦しめ続けるとしても。


「教えねえよ。春に、そんなこと」

 悪魔モードでニヤリと微笑んだ俺。

 
 天使のように微笑んだ春輝。

「やっぱり、悪魔あやあやが
 世界一カッコいい」


「バーカ」


 小1から
 4人でトップアイドル目指して。

 高3になった今でも
 同じ夢追いかけ続けて。

 その中の一人が
 春輝で本当に良かったよ。

 素直にそう思ったけど。


 ハズい。
 そんな恥ずかしすぎること
 面と向かって言えねぇ。


 だから。
 その代わり。


 ハムスター並みの真ん丸な瞳を輝かせ、
 おいしそうにモンブランプリンを
 頬張る春輝の頭を。

 2回、ポンポンした。
 今できる、最大の笑顔を添えて。
 
 
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