ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目

 今日もまた
 同じ時間に、店に入るドアの前に立ち、
 腕時計に文句タラタラな俺。


 まだか。あとちょっと。

 早く、針動けよ。
 マジで待ちきれないから。


 時計の針を急かすように
 つま先で床をトントン叩く。


 5・4・3・2・1


 ゼロになった瞬間。
 俺はドアを開け、店に飛び込んだ。


 蛍の光が流れる店内を
 一応キョロキョロ見回す。


 大丈夫。お客は誰もいない。


 俺はいつものように
 なんの迷いも持たず、
 ほのかを思いっきり抱きしめた。


「やっと、俺だけのものになった」


「ちょ……ちょっと……綾星くん……」


「俺に抱きしめられるの、嫌なわけ?」


「嫌じゃないけど……
 ここじゃ……恥ずかしいよ……」


「俺は平気。
 ほのかしか、目に入ってないし」


「美紅さんたちに見られちゃうから……」
 と言いながらも
 俺の腕の中にすっぽり収まるほのか。



 母さんたちに見られるなんて
 全然気にならない。


 ほのかが俺の腕の中にいてくれるだけで
 幸せでたまんねえから。

 癒される。マジで。


 昔の俺なら、恥ずかしすぎて
 川に身投げしてたかもな。

 女の子を抱きしめてるところを
 親に見られたらさ。

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