ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目

 いつもマイペースな二人の
 驚異的な逃げ足の速さを思い出し
 脱帽していると。

 『骨、溶けてんじゃねえの?』

 そう突っ込みたくなるほど
 ヘニャヘニャと体をくねらせた雅が、
 照れと嬉しさをごちゃ混ぜにした声を
 発した。


「ステージの上で
 明梨(あかり)ちゃんを見つけた時の俺
 大丈夫だった?」


「は?」


「ちゃんと踊ってた?
 カッコ悪くなかった?」


「知らねえ。
 ライブの時、雅なんて見てねえし」

 

 雅がありったけの勇気振り絞って
 この幸せをつかみ取ったから。
 文句言わずに
 ノロケを聞いてやってるけど。


 本当はいつもの悪魔綾星で
 雅をイジリ倒したくて
 ウズウズしている。


 そんな俺の
 軽く濁った心の声なんて
 見透かす余裕がないくらい。

 目の前の雅は大好きな明梨ちゃんに
 心の中が支配されていて。

 明梨ちゃん色の緑のタオルを
 ぶんぶん振り回し、
 俺に届けとばかりに
 浮かれ声を上げた。
< 2 / 177 >

この作品をシェア

pagetop