黙って俺を好きになれ
ベッドで熱に浮かされながら確かめられるのとは違う気配を、肌で感じていた。

「・・・好きです。先輩が初恋でした・・・・・・」

7年越しの告白。淡い思い出が一気に時間を駆け(のぼ)って現在(いま)に繋がったような。

「俺のものになるか」

あの頃は何も考えなくても二人でいられた。縛り合うこともなかった。あのままで居たかった、できるなら。どうして運命の神様はまた引き合わせたの。きゅっと指を握りしめる。

なれないと答えれば。『じゃあな』って。これでお別れですよね・・・?二度と会わない、・・・そうですよね。

優しくてどこまでも勝手。回す腕に私を固く閉じ込めて離しもしないのに、選べなんて。苦くて苦い笑みが歪んだ。あなたに顔が見えなくてよかった。

「・・・・・・私は幹さんと同じ水には棲めません」

か細く息を逃しながら、口から言葉が滑り下りた。
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