黙って俺を好きになれ
番外編1
山脇さんに訊いてみたいことがあった。とは言っても彼と二人だけになる機会はありそうでない。偶然そのチャンスが巡ったある夜のこと。

食事に出かけ、帰りの車の中で幹さんのスマホに一本の電話がかかってきた。ジェスチャーで山脇さんに車をコンビニに駐車させると一人で降り、外で話し込む幹さん。私に聞かせたくない内容だったんだろう。

今しかないと、運転席で身動ぎひとつしない山脇さんに恐る恐る後部シートから声をかけた。

「・・・あの、山脇さん」

「・・・・・・なんだ」

「訊いてもいいですか・・・?」

無言は肯定。そう受け取った私は思い切って続ける。

「筒井君にロシアンルーレットを持ちかけたとき、どうして幹さんを止めなかったんですか?」
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