最後の夏に君に恋する
この彼と出会ったのは、2週間前。
クラス替えだ。
君は私の後ろの席だった。
まぁ、田中と谷川だからね。

「そらちゃん!」

声をかけてくれたのはこのクラスにいる唯一の友達、七瀬 美希(ナナセ ミキ)ちゃんだ。
彼女はすっっっごくいい子。
真面目だし、女の子らしいし、うん。
いい子。
吹奏楽部なんだって。

『おはよー!一緒のクラス嬉しい!』

私は精一杯の笑顔で言った。
その時、後ろの席に男子が座った。
もう三年になる為、学年全員の顔くらいは覚えていたから、もちろん彼の事も知っていた。


谷川 明輝人(タニガワ アキト)。
男子テニス部所属。スクールカーストは上位の方かな。
顔面偏差値は中くらい。
まあ、恐らくそれなりにモテるだろう。
最初は、なんとも思ってなかった。

けど、いつからか。

君のふとした仕草にきゅんとして。
君が誰よりもかっこよく見えて。
指が触れるだけで顔が熱くなった。

ああ、きっと恋なんだ。

そう気付くのに、時間はそうかからなかった。

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