こじらせ社長のお気に入り
断らないと……
わかって入るけれど、切ない目をした勇斗を前にして、言葉が出てこなくなってしまう。それは、過去のことに後ろめたさがあるからなのかもしれない。

「もし柚月に、当時のことに対する罪悪感があるなら、もう一度、チャンスをくれないか?」

私の思いを見透かすような言い回しに、動揺してしまう。おそらく、私の揺れる瞳から、優斗は私の気持ちを読み取ったのだろう。 

「ずるい言い方をしているのはわかっている。でも、チャンスがあるなら、そんなことにすら頼ってしまうぐらい、柚月のことが好きなんだ」

なにも言えず、黙ったまま勇斗を見つめる。勇斗がずるいように、なにも言わない私もずるいのだと思う。

「それじゃあ。また連絡するから」

私の頬にさっと触れると、勇斗は私に背を向けて、駅までの道のりを戻っていった。










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