こじらせ社長のお気に入り
「笹川ちゃん。俺は君の要求すること全てに応えてあげることはできないかもしれない。だからって、君を諦めることもできそうにないんだ」

促されるまま顔を上げれば、熱い目をした社長がいた。気恥ずかしさを押し殺して、その目を見つめ続ける。

「笹川ちゃん……いや、笹川柚月さん。俺の全てを知った上で、付き合ってくれないか?」

「……私の全ての要求に応える……私の今の性格を知っていますよね?私、誰かに何かをやってもらうことに満足するような人間じゃないんです。仕事もそれ以外も。私は変わったんです。
そんな私でよければ、お付き合いさせてください」

社長の反応を見るのが怖くて頭を下げたままでいると、すぐさま力強く抱きしめられた。

「そうだった。笹川ちゃんは……柚月は、ちゃんと意思を持った素敵な女性だった。柚月がそばにいてくれれば、なんでもできる気がする。一生、俺の隣にいてくれ」

いきなりの名前呼びにドキリとしながら、私もそっと抱きしめ返しながら囁いた。

「ずっと、あなたの隣にいます」



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