こじらせ社長のお気に入り
「とにかく、笹川さん。私としては、山川さんの態度を見ていれば、利益を優先するよりも、切るべきだと思っていたので、全く問題ありません。心配しないでください。
もし問題があったとすれば、それは社長の煮え切らない態度……優男っぷりですから。
さあ、さっさと忘れて、仕事に戻りましょう」

「は、はい」

「社長。あなたは今夜、私と反省会ですからね」

「うっ……あ、葵ちゃんに悪いから……」

「いえ。むしろ、葵があなたを呼び出したいそうですよ」

葵さん?
パソコンを立ち上げつつ、2人のやりとりを見ていたら、副社長が説明をしてくれた。

「ああ、私の妻のことです。定期的に、この優男に喝を入れたがるんですよ」

「は、はあ……」

「喝って言うより、焼きだよなあ……葵ちゃんなあ……黙ってればすっごい美人なのになあ……口を開けば瑞樹以上だもんなあ……」

小声で呟く社長を、これでもかってぐらい冷たく睨む副社長。この人にとって、〝葵さん〟を悪く言うのは地雷だと、心のメモに加えておく。

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