こじらせ社長のお気に入り
「よし。笹川ちゃんはもうあがれる?」

定時ちょうど頃、社長がこちらの様子を伺いながら尋ねてきた。彼は既に片付けを始めているようだ。

「あっ、はい。もう片付けます」

今日は外出も来客もなくて、事務仕事がずいぶん捗った。あっという間に退勤時間になっていた。

「一緒に行くよ」

当然のように社長に誘われる。でも、こういう場って、上の人達は遅れない程度に遅めに行くものじゃないの?
と思ったけれど、この人ならなんでもアリなのかもと思い直して口を閉じた。

一緒に社長室を出ると、他の社員も片付け始めているのが見えた。計画してくれた人達は、既にお店に向かったみたいだし、早すぎることはなさそうだ。
結局、タイミングが合った人達も連れ立って、複数でお店に向かうことにした。




< 90 / 223 >

この作品をシェア

pagetop