必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
(婚約者のはずよね? 私はアルにとって)

 三年前、いずれ結婚しようと約束したのだ。だから一応……おそらく……きっと……婚約関係であると言っていいはずだ。
 だが、この三年、ふたりの関係にはあまりにも進展がなかった。婚約者どころか恋人と呼べるかどうかすら、怪しいものだ。

(いずれって、いずれって、具体的にいつなのよー!!)

 三年前はたしかに子供だった。結婚なんて遠い話だと思われても仕方がなかった。でも、もう違う。まだ大人とは呼べないかも知れないけれど、確実に子供ではない。この国で女性の十八歳は、立派に結婚適齢期だ。

「リーズ。いつまで僕の部屋にいる気だ? 忙しいんだから、用がないなら帰ってくれ」

 彼らしいと言えば、彼らしい態度だ。意地悪で素直じゃないのがアルなのだから。
 でも、たまには恋人らしい甘さが欲しい。ジークとエイミほどはいらないから、せめてあの半分くらい。
 リーズがそう思うのは、贅沢なのだろうか。

「用があるから、来たんです!」

 といいつつ、自分も可愛げのかけらもない物言いをしてしまう。
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