必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
 エイミは勇気を出して、自分の思いを言葉にした。

「ジーク様が悪いなんて、これっぽっちも思ってません。それは本心です。でも……村は貧しくて、役人の取り立てる税は重すぎるとみんなが思っていました」
「ふむ。税は適正値にしているつもりだったが……計算方法が悪いか」
「管轄の役人がかすめてるんじゃないですかね? 最近、妙に羽振りのいい奴が多い気がしますよ」

 アルの提言に、ジークはぴくりと眉根を寄せた。

「そうか。それは、エイミの村だけでなく、領内すべてで一度チェックする必要があるな」
「では、そのように手配します」
「うん。頼んだぞ、アル」

「あ、ありがとうございます!」

 エイミはジークとアルに頭を下げた。

「村のみんなもお肉を食べられるようになったら嬉しいです」

 エイミは微笑んだ。が、アルがすかさず意地悪を言う。

「みんなねぇ。本当に村の全員にって思ってる? 嫌いな奴とかいるんじゃないの」 
「うっ。苦手な人はいましたけど、美味しいお肉はみんなに食べて欲しいと思って……あれ? こういうのがいい子ぶりっこで駄目なのかな」

 混乱しているエイミを見て、ジークはふっと笑う。

「アル。あまりエイミをいじめるな。エイミはいい子ぶりっこでなく、いい子なんだ」
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