必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
「そんなことないですよ! 三つ子達はジーク様が傍にいると安心するみたいですし、それに……」
「なんだ?」
「寝かしつけはまだ完了してません!」

 ジークは三つ子達を見比べながら、不思議そうに首をかしげる。

「そうか? 三人とも、もう眠ったように見えるが」
「マクシムとレオルドは大丈夫です。でもシェリンは……」

 エイミは振動を与えないようにゆっくりとシェリンをベッドにおろす。が、頭がお布団につくやいなや、シェリンは顔を歪めて、ふぇ~ふぇ~と泣き出した。

「ん? 寝てなかったのか?」

 ジークがシェリンの顔をのぞきこむ。

「抱っこして寝かしつけると、高確率でこうなります」
「ほっといていいのか?」

 シェリンの泣き声はどんどん大きくなる。他のふたりが起きてしまわないかと、ジークは焦り気味だ。

「まずはこんな感じで……」

 エイミはシェリンの背中をトントンと規則的に叩いてやる。すると、シェリンの泣き声は少しずつ小さくなり、スースーという寝息にかわった。

「おぉ!」

 ジークが小さく感嘆の声をあげる。

 スー、スー、スー。

 シェリンの寝顔は穏やかだ。が、次の瞬間、突然火がついたように泣き出した。さっきまでより、ずっと激しい泣き声だ。
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