必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
 ジークが優しいから、勘違いしてしまった。夫婦になれるんじゃないか……と。もしかしたら、憧れていた温かい家庭を自分も築くことができるんじゃないか……と。

 夢や希望なんて自分には縁がないものと諦めていたはずなのに、この城で幸せな日々を過ごすうちに欲張りになってしまったらしい。

(も~馬鹿すぎる! 恥ずかしすぎる!) 

 エイミは布団の中でジタバタと身悶えた。

 と、そこに、ドンドンと大きなノックの音が響いた。
 こんな朝方に何事だろうか。

 エイミは飛び起きた。と、同時に扉が開いて、ジークが顔をのぞかせた。

「エイミ!」
「わっ。ジーク様? どうしたんですか?」

 エイミはまだ夜着のままだ。あわてて、近くにあったローブをひっぱりくるまった。だが、彼の方はエイミのそんな恥じらいは気にも留めていないようで、ズカズカと近づいてくる。

 エイミは上目遣いにジークを見る。

「な、なにか?」
「あのな、エイミ」

 ジークはなにやら真剣な顔をしている。なにを言われるのだろうかと、エイミは少し身構えた。
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