新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
 さり気なく『涼ちゃん』と呼ばれ、二十五歳にもなって照れくさくなる。

「えっと、こちらこそよろしくお願いします」

 恥ずかしさを誤魔化すように頭を下げると、大家さんは続ける。

「それと以前話していた、ほかの住人がこのふたり。幼なじみの新川丈二と、金子彩香」

 大家さんに紹介された金子さんは、眩しい笑顔で言った。

「まさか新しい住人が涼ちゃんだったなんてびっくりしたよー。でも嬉しい。今日涼ちゃんと話をしてみて仕事ではもちろん、プライベートでも仲良くなりたいと思っていたから。これからよろしくね」

 純粋な目を向けられ、自分が情けなくなる。

 私はふたりがシェアハウスに入っていくところを見たときから、ずっと住人が新川部長と金子さんだったらどうしようと気を揉んでいたというのに。
 こんな私と仲良くしたいと思ってくれていたなんて……!

 新川部長のことがなかったら、私も金子さんと仲良くなりたいと思ったはず。だってこんなに素敵で優しい人、そういないもの。会社でも家でも一緒に過ごしたら、金子さんのことが大好きになる自信がある。

「金子さん、こちらこそよかったら仲良くしてください!」

 一刻も早く新川部長への恋心は抹消しますから。
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