新婚未満のかりそめ初夜～クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする～

「俺も陸の作品は新作が出るたびに読んでいるんだけどさ、思うに小説の中のふたりを、自分と彩香に重ねて書いているんじゃないかと思うんだ」

「大家さんと彩香さんに、ですか？」

　オウム返しすると、ジョージさんは続ける。

「あいつらが一緒になるのは、並大抵のことじゃない。だから付き合って五年経った今も結婚には至れていないんだ。いつか彩香と幸せな結婚をしたい。その思いを小説にぶつけていると思う」

　私には正直、想像できない。だって結婚って愛し合っている者同士がするものでしょ？　それなのに会社のためにするなんて……。

「ふたりとも大切な存在だ。だから誰よりも幸せになってほしい。でも陸がさ、小説家として有名になって自信がつくまで、彩香とは結婚しないって言うんだ。今のままじゃ、彩香の両親に認めてもらえないからって。彩香もそんな陸の気持ちを尊重し、応援している」

　それは昨夜、私もふたりから聞いた話だ。でもなんだろう。改めて聞くとなんかモヤモヤする。