クールな王子は強引に溺愛する
部屋を出ていくリアムを、ベッドから見送る自分を情けなく思っていると、しばらくしてウキウキ気分のモリーが顔を出した。
「あ〜。愛されていますよねえ。エミリー様は」
『エミリー様は』の後にハートマークが付きそうなモリーに、心の中でため息を漏らす。
心から愛されているわけではないのは、承知している。
それでも私は幸せ者だわ。報われない恋であっても、その方と夫婦でいられているのだから。
モリーを見習って、ポジティブに捉えようとエミリーは前を向く。
城に来て数日。まだ慣れないからお客様扱いなのだろうと思っているが、そろそろ自分もなにかやらなければと、せめて城の中を探索してみようと心に決めた。