愛は惜しみなく与う⑥
私はやめた方が良いとずっと言ってたんですけど、杏様は『たまに息抜きも必要やし。ずっとしっかりせなって思うのしんどいもんな』
そう言って、鈴の我儘も受け入れました


本当にただ、夜のゲームセンターに行ったり、公園で遊んだり、海に行ったり…

本当に普通のことをしました。


でも鈴にとっては、いつもと違う日常で、とても楽しかったようで。
喜ぶ鈴を見て杏様も喜んでいました。

ごく稀に、喧嘩を売られることがありました。

でもそんな時は、杏様は逃げることしかしなかった。私に相手を任せるか、一緒に逃げるか。

鈴の前で絶対喧嘩は見せなかった


それが杏様なりの気遣いでした。


怖い思いは1ミリもさせたくない。
だから自分が馬鹿にされてもいいから、逃げたと噂が回ってもいいから…
気づかれる前にその場から離れることが多かったんです。


杏様は本当に大事にしていましたよ。

自分ができなかった後継者の立場をまっとうする鈴を心から応援していました。
そのしんどさや、息苦しさも杏様なら理解できるので…

余計、気にかけていたんでしょうね
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