愛は惜しみなく与う⑥
見たくないもの

パニックになる敦子

「敦子、昴は上にいるの?」

美奈子の問いかけに首を縦に何度も振る敦子


俺は…

 

勝手に身体が動いていた



意味わかんねーし、こんなこと体験したこともないし。杏を助けたくてここに来ただけだから。

何が何か…


でも、この数日で、不安な気持ちを昴さんが吹き飛ばしてくれた。
優しいお兄ちゃんみたいな人で

強くて…


ちがう



絶対大丈夫だ


2階にあがり廊下を見る



音はすごかったけど、廊下の真ん中…職員室の周りだけ、窓ガラスや物が散乱している。



「昴さん!!昴さん!!」


職員室の扉は開いたまま

ガラスの上を歩いて中を除けば、置いてあった机やパソコン、本棚

それらが倒れている



「昴さんっ!!!!」


返事をしてくれよ

こんな事、あっていいわけない!


水瀬が立っていたであろう場所から、円形に物が吹き飛んでいる。


水瀬は……何をした?



教室の端に吹き飛んだ机


どこにいるのか





「いててて……」

「!!!!!」


声がした

あの辺からだ


入り口から1番奥の窓際

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