愛は惜しみなく与う⑥
志木の気持ち
「待てよ。じゃあ、杏があの時…気絶してて目が覚めたときに…目の前に倒れてたのは妹じゃないってことか?」


昴は頭の中で整理が出来てきたのか、目が泳ぐ。
私も…

今これを見てピンと来ました。



正直、どんな状況であれ、杏様が生死の確認が出来ないとは考えにくい。
気が動転していても、杏様は本来冷静に物事を判断します。

ただ、そこに倒れる少女は、顔が判別出来なかった。


さっきまでそこで犯されていた鈴 
そして目を覚ませば、目の前に倒れる少女


そして、首には東堂の後継者のネックレスに、鈴の制服

顔は腫れ上がり原型が分からないほどだったと杏様は言ったけど…


その状態で目覚めれば、鈴だと思いますよね。


でもそこにいたのが違う女性なら?


だって鈴は生きていたんですから。
脈が止まって倒れていたその人は?誰です。


「初めは本当に鈴が死んだんだと思ってたんです。でも、あの事件から2.3ヶ月経って……わたしは鈴が生きているかもしれないと言う考えに至りました。

ただ、そこまで頭が回らなかった。もし鈴が生きていたら、倒れていた人は誰なのかと」
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