愛は惜しみなく与う⑥
泉はそう涙を流した  

まって、やめてよ

泣かんといてよ


「ずっと…期限が終われば、妹として今後生きていくって、分かってて俺たちと一緒に居たのか?」


何も言えへん
その通りやった

あたしを受け入れてくれる人達に

あたしは1番ついてはいけない嘘をついていた


「ごめん」


謝ってもどうにもならへん
あたしはもう、鈴として生きていくことを受け入れた。無理矢理

そうしてきたから


あたしをまた見てくれる人達に会うなんて思ってなかったからさ


これがどんだけ失礼で、最低なことかなんて考えてなかった



「俺らは、杏と仲良くなったんだ。何があっても守るって言ったろ?杏だからなんだ。なのにどうして…」


そのまま泉は黙ってしまった

あたしは泉に手を伸ばそうとしたけど、できひんかった。
あたしが触れるのはアカン気がした


でも



「あたしは…鈴のフリをしてる。今も…ずっと。鈴が死んでから、この家であたしを杏って呼ぶ人なんておらん。これを知ってるのは…志木と志木のお母さんだけ。みんなあたしを…鈴やと思ってる」
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