花屋敷の主人は蛍に恋をする




 「………どうしてかな?って思ってた。樹さんは一緒に居るだけで満足なのかなって。私は、あなたに触れて欲しいって思ってた……」
 「一緒の気持ちだったようで安心しました」
 「………樹さんが好き。秘密を知る前も知った後も、それは変わらない」



 菊菜は彼の綺麗な黒色の瞳を見つめながらそう伝えた。緑色に染まりつつあるという自分の瞳は、きっと揺れて、潤んでいるだろう。



 「私も菊菜を愛しています」


 そのまっすぐな言葉がスタートとなり、樹と菊菜の距離は今まで以上に近くなり、そして繋がった。
 どんなに涙を流しても、それは今までの涙とは違う。



 幸せの涙なのだ。




 
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