花屋敷の主人は蛍に恋をする



 「薔薇の名前もとても面白いですよ。日本の人が品種改良して作ったものは日本語の名前がついたりしています」
 「そうなんですね。そんなに沢山あるのなら自分に合う薔薇を見つけたいですね」
 「え………」


 花には、誕生花や花言葉などがあり、意味も様々だ。だからこそ、見た目や名前で自分に合った薔薇を見つけたら素敵だなと思ったことを口にしてしまった。すると、樹は驚いた表情を見せたのだ。
 菊那は自分が何か変な事を言ってしまっただろうか?と首を傾げ、頬を少し赤くして彼に問いかけた。


 「あ、あの……私、何か変なことを言いましたか?」
 「いえ……そんな事を考えたことはなかったものですから。でも、いいですね………あなたの薔薇もそして私の薔薇も探してみたいです」


 そう言って微笑む樹は、とても嬉しそうで、今まで見てきた中で1番楽しそうだな、と菊那は思い、胸の奥がギュッと締め付けられる感覚に襲われた。








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