Everlasting Love〜きみに捧げる永遠の愛の歌〜

「なに、これ。」

「俺さ、バンド組んでてさ。で、曲を俺が作ってんだ。これがその新曲なんだけど、歌詞がまだなくてさ。お前、書かね?」

「え?」

「ま、これやるからとりあえず聴いてみてよ。それで、詞書いても良いかなって思えたら引き受けてよ。」

 私はエセからCDを受け取る。そのCDには終火と書いていた。

「しゅう、び?」

「”しゅうか”。俺の組んでるバンドの名前。ちゃんと聴けよ?聴かずに断るのは無しだからな。」

「…わかった。」

「よーし。意外と素直だな。もっと頑固かと思ったけど。」

 また、エセは笑う。これは、からかわれているのだろうか。

 こいつといると自分のペースを乱される感じがして少し疲れる。というか、美鈴以外の人とこうやってちゃんと会話するの久々な気がした。

 もう言い返す体力も残っておらず情けなく思う。

「じゃ、俺バイトあっから。じゃーな。」

 エセは重そうなリュックを片手で軽々と持ち、音楽室を出て行った。

 台風みたいな人だ。

 私はもう一度、終火と書かれたCDを見つめる。

「きったない字。」

 思わず声に出る。

 せっかく誰もいない音楽室を占領できてるんだし、もっと歌っていこうと思っていた。けれど、エセに渡されたこのCDが気になって仕方ない。
< 16 / 178 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop