Everlasting Love〜きみに捧げる永遠の愛の歌〜
「なに、これ。」
「俺さ、バンド組んでてさ。で、曲を俺が作ってんだ。これがその新曲なんだけど、歌詞がまだなくてさ。お前、書かね?」
「え?」
「ま、これやるからとりあえず聴いてみてよ。それで、詞書いても良いかなって思えたら引き受けてよ。」
私はエセからCDを受け取る。そのCDには終火と書いていた。
「しゅう、び?」
「”しゅうか”。俺の組んでるバンドの名前。ちゃんと聴けよ?聴かずに断るのは無しだからな。」
「…わかった。」
「よーし。意外と素直だな。もっと頑固かと思ったけど。」
また、エセは笑う。これは、からかわれているのだろうか。
こいつといると自分のペースを乱される感じがして少し疲れる。というか、美鈴以外の人とこうやってちゃんと会話するの久々な気がした。
もう言い返す体力も残っておらず情けなく思う。
「じゃ、俺バイトあっから。じゃーな。」
エセは重そうなリュックを片手で軽々と持ち、音楽室を出て行った。
台風みたいな人だ。
私はもう一度、終火と書かれたCDを見つめる。
「きったない字。」
思わず声に出る。
せっかく誰もいない音楽室を占領できてるんだし、もっと歌っていこうと思っていた。けれど、エセに渡されたこのCDが気になって仕方ない。