Everlasting Love〜きみに捧げる永遠の愛の歌〜
11.スタートライン

 知らない街。

 知らない景色。

 知らない音や声。

 この街で私は新しいスタートを切る。



 せわしない日々が続いた。

 上京してから、半年後のデビューに向けて足りない歌唱力や、テレビ上でのマナーなど、事務所から叩き直された。

 残っていたわずかな夏休みもあっさり消え、新学期、新しい学校に編入する初日も放課後にはすぐに事務所に行かなくてはいけなく、クラスの人とろくに会話をするでもなく終わってしまった。

 まだ、東京での生活は慣れない。

 電車は路線が多すぐてどの電車でどこで乗り換えればいいとか覚えられないし、似たような建物が多すぎて道もあやふやで。

 多すぎる人の流れにうっかり呑まれてしまいそうになる。

「おはようございます。」

 やっとのこと事務所に到着し、フロントに声をかけてから中に入る。

「上野さん、今日は紹介したい子がいるの。」

 中に入り、席に着くやいなやマネージャーさんが声をかけてくる。

「はあ。紹介したい人…ですか…。」

「連れてくるからちょっと待っててね。」

 そう言うとマネージャーは忙しなく部屋から出て行き、そして少ししてから私と同い年くらいの女の子を連れて戻ってくる。

 うわ、すごく綺麗な人…。

 背はそんなに高くないが、目を惹かれる容姿のその子は鋭い目つきで私を見つめた。

 あれ、私、睨まれてる?
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