きみがため
たくさんあるから、と川島部長からもらった去年の文集を、家で繰り返し眺めた。

そのうちに、私は気づいたんだ。

見返りを求めている恋は、恋じゃない。

私は、桜人が好きだ。彼に避けられようと、彼が誰といようと、それでも好きだ。

彼は私を変えてくれたこの世でただひとりの存在。

苦しい気持ちを受け入れて、この先も、心の中で想い続ければいい。

行き着いた答えは、驚くほど単純だった。

――私は、この先も、桜人を想い続ける。
 
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