【タテスクコミック原作】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 けれども、この期に及んで、素直になることなんてできない私は、可愛げのないことしか言えないのだった。

「一か月でなんて無理に決まってるじゃないですか? それに、私はあなたなんか好きじゃないしッ! 『業務命令』っていうのなら仕方ないから聞きますけど」
「『業務命令』なんて、そんな色気のないこと言わないでください。せめて、僕からのお願いにしといてくれませんか?」
「……『雇用主』がそう言うなら、そういうことにしてあげてもいいですけど」
「照れてる侑李さんも可愛らしいですねぇ。キスしてもいいですか?」
「はっ!? ダメに決まってるじゃないですかッ!」
「今はまだ『雇用契約』を交わしてるんですから、応じていただかないと困ります」
「なら、勝手にすればいいじゃないですかッ!」
「分かってませんねぇ? 僕は侑李さんが恥じらう姿を見たいんです」
「ーーんんっ」

 なんやかんや愉しそうな鬼畜の姿に、やっぱりそういうプレイを愉しんでるんじゃないか、という気がしないでもない。

 けれどこの時の私は、鬼畜のことを信じたい、確かにそう思えたーー。
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