【タテスクコミック原作】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 鬼畜の気持ちだってどこまで本気かなんてわかんないし。本気だったとしても、どうにもならないことだってあるんだし。

 鬼畜に抱いてしまっている気持ちを素直に認めることはできなかったものの、もう結構好きになってしまっているようだし。

 もうこれ以上鬼畜のことを好きになってしまうのが怖いから、鬼畜の秘書なんてしたくない、というのが本音だった。

 それなのに、当てが外れてしまい。焦ってしまった私が、速攻で鬼畜の第二秘書を辞退したい旨を伝えたのだけれど。

「あの、でも、やっぱり公私混同と捉えかねませんし、私は辞退させていただきたいのですが」
「あら、そんなことなら心配無用よ? 高梨さんなら大丈夫。私が太鼓判を押すわ。それに、高梨さん以外で副社長のあの甘いマスクに顔色一つ変えない人なんて、この秘書室には居ないんですもの。だから副社長の第二秘書に推薦したぐらいなのよ? なにより、高梨さんが務めた方がきっと副社長も仕事にも精力的に取り組めると思うわ。ここだけの話、社長がそうだったの。だから副社長のためにも頑張ってもらえないかしら?」 

 憧れの存在であり尊敬する上司でもある三上室長にそこまで言われてしまえば、それ以上拒むことなんてできないのだった。

 それが逆に功を奏したのか、引き継ぎも済んでいたこともあって、副社長の第二秘書という立場上、今までのように秘書室の先輩方と深くかかわりあうようなこともなくなったため、思いの外スムーズに業務を進めることができている。
< 208 / 619 >

この作品をシェア

pagetop