【タテスクコミック原作】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
~epilogue~

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 ついこの前まで寒くてコートが手放せなかったのに、もうすっかり春めいてきた。

 そのせいか、隼と私の可愛い可愛い愛娘の鈴《りん》(三歳)は、さっきから外に行きたくて行きたくてしようがないらしい。

 でも、朝食を終えたばかりで、食器の後片付けをしていた私には相手にしてもらえないと思ったのだろう。

 自分の部屋からお気に入りの帽子とオモチャを持ち出してきた鈴が隼の居るリビングへ一目散に駆けていって。

 食後の一時をコーヒーの入ったカップを片手にソファで寛いでいた隼の傍で鈴がピタリと立ち止まった。

 そして最近じいじ(私の父)に買って貰ったラジコンヘリを大事そうに掲げながら。

「ねぇ、パパ~。鈴ねぇ、このヘリを広い広いお空でね、い~っぱいにとばしてあげたいの。だからね、パパとママのおもいでの飛行機と船の見える公園につれてってほしいの。ねぇ、パパ~、お願い」

 どこで覚えたのか、僅かに小首を傾げてなんとも可愛らしいお強請り攻撃を炸裂している。

 私は、キッチンからその様子を微笑ましく眺めつつ、密かに予想するのだ。

 ーーこれは二秒もかからないなぁ。おそらく瞬殺だ。

 案の定、鈴にメロメロの隼は、可愛い鈴のことをまるで宝物でも扱うように大事そうに抱き上げ。

 自分の膝にちょこんと乗せた鈴の頬に自分の顔をスリスリと擦り寄せて。

「パパ、メッ! お髭が当たってチクチクするのヤダ~」
「鈴があんまり可愛いから、つい。ごめんね?」

 いつもの如く、気の強い私の気性によく似た鈴に容赦なく『メッ!』されて、シュンとしつつ鈴に謝るという、どこかで見たことのあるようなやりとりを経て。

「ううん。鈴、パパのこと大好きだから許してあげる」
「ありがとう、鈴。パパも鈴のこと大好きだよ」
「じゃあ、連れてってくれる?」
「勿論。じゃあ、早くお出かけできるように、パパと一緒にママのお手伝いしようか?」
「わぁ~い! ありがとう! パパ大好きッ!」

 最後には、可愛くて可愛くてどうしようもない鈴から、お礼としてのほっぺにチュー攻撃を食らった隼は、パパになった今も健在の円らな瞳にハートマークを浮かべつつソファから腰を上げて。

 やけに軽い足取りで鈴を抱っこしたまま私の元まで来ると、すぐに鈴のことを解放した。

 そうして鈴がお手伝いするためラジコンを
キッチンの隅に下ろしている隙に、隼は私の腰をそうっと抱き寄せて、耳元では。

「ねぇ、侑李。鈴からほっぺにチュー貰ったよ? 侑李からもしてほしいなぁ?」

 なーんて、出逢った頃よりも色香マシマシになった甘やかな声音で可愛らしいお強請りをしてくる。

 私はこれまたいつもの如く、照れ隠しのツンとした声で。

「もう、隼ってば、しょうがないなぁ」

 そんなことを言いつつも、ずっと変わらずにいてくれる隼に内心では感謝しつつ、隼の首に両腕を絡めて、愛情たっぷりのキスを隼の柔らかな唇めがけてお見舞いするのだった。

 そうしたらどうやら火がついてしまって、止まらなくなってしまった隼に、濃厚で甘やかな深いキスをお返しされてしまい。

 骨抜きにされて、しばらくポーッとなってしまってた私は、

「ママ~? 大丈夫?」 

不思議そうに私のことを見上げてくる可愛い鈴に、朝から心配されてしまう羽目になったけれど……。

 現在、二人目となる赤ちゃんを授かってもうすぐ三ヶ月を迎えようとしている私と隼は、頗る幸せだ。


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ーFinー 

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