【タテスクコミック原作】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 それらが全部、胸に押し当てられた鬼畜の手を通して伝わってしまいそうで、なんとかして一刻も速く距離をとらなきゃ、と思うのに……。

 鬼畜に文句を言ってやろうと顔を上げてみたのはいいけれど、さっきと同様、優しい甘やかな眼差しで見つめられ、

「だいぶん呼吸のほうも落ち着いてきたようですね? 安心しました」

相も変わらず優しい甘やかな声音で、ホッと安堵したようにそう言われ、あの人好きのするキラースマイルで微笑まれてしまえば……。

 どういう訳か、私は鬼畜のことを振り払うどころか、文句を言うことでさえもできなかった。そればかりか……。

 そんな私のことを見下ろしていた鬼畜の優しかった表情が唐突に、がらりと、あのニヤリとした厭らしいものへと豹変し。

「あれ? どうしました? なんだか元気がないように見えますが、大丈夫ですか?」

 まるで、私の考えていることなど全部お見通しだとでも言いたげな鬼畜の言葉に、動揺した私が、

「べっ別にっ!」

そう言って、強がって、鬼畜にそっぽ向いて見せたところで。

「そろそろ再開したいので、まずは、スーツのスカートと下着を脱いで、僕の前で脚を広げて、侑李さんの全てを僕に見せて下さい」

「はぁ!? なっ、なんでそんなことしなきゃいけないのよっ?」

「なんでって。僕に、何度言わせるつもりですか? これは”業務命令”です。よって、侑李さんには従っていただかないと困りますので、さっさと脱いで下さい」

 鬼畜の追撃は緩むどころか、ますますエスカレートしていくのだった。

 けれど、どう足掻いてみたって、鬼畜に『業務命令』だと言われてしまえば、従うしかない訳で。

 鬼畜の”業務命令”に、致し方なく従いながらも、もしも本当に、鬼畜の言うように、”不感症”じゃないのだとすれば、確かめてみたい、なんて、少々リスキーな考えまでがチラつき始めて。

 私は、その何もかも全てを、『これも酔っている所為なんだ』と、心の中で、何度も何度も言い聞かせることしかできないでいた。

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