恋の涙、愛の傷
初めて高科の隣に並んでエレベーターに乗る。

今日のカナのブーツは7センチヒールで、高科の目が約10センチ程上にある。

沈黙がいたたまれず、カナが口を開く
「身長はいくつくらいですか?」
「178位じゃないかな多分。ところでカナちゃん嫌いなものある?」
「何でもいけます!」

隣に並んで歩く高科はスーツが良く似合い、
普段、会社指定の作業服ですごしてるカナにとっては、
目がくらむ位にかっこよかった。


・・・今、私と高科さんはどんな風に周りにうつるのかな?

そんな妄想を隠すように、カナは一生懸命しゃべった。



高科が連れて行ってくれたのは、雰囲気のよい小料理屋だった。

テーブルが2席とカウンターが6席ほどの小さなお店を
親子で切り盛りしているところだった。


ちゃんと季節を考えた軽めのコース料理で、
どれもおいしそうだったけど、カナは緊張のあまりに、
残さないように気をつけるのに精一杯で、ほとんど味がわからなかった。



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