【完】スキャンダル・ヒロイン

やっぱり夏の終わりって切ない。
セミの大合唱も、青空の高くなっていくさまも、秋の匂いが鼻を掠めていく事も

隣で意地悪ばかりして無邪気な笑顔を見せる、彼の儚いほど美しい横顔も――全てが切ない。

私は何も持たない只の一般人だけど、伝えてもいいですか?この胸の中にある抱えきれない程の想いを。

「ん?どうした?」

こちらを向いて茶色い瞳を優しく揺らす。

私は全部が好き。意地悪な笑顔も、子供みたいに拗ねた仕草も。ふとした時見せる柔らかい微笑みも。

あなたが見せる色々な表情がそこにはあって、一緒にいるとワクワクしたり楽しい気持ちになって、あなたが悲しくなると私も悲しくって、あなたが笑顔になるとこんなにも嬉しくなる。

そんな初めて感じるこの気持ちをあなたへ伝えたい。

「何でもない…」

怖い。それは恐怖だった。

たっくんの時のトラウマ…?告白して相手からも期待させる言葉を投げかけられて、ひとりで舞い上がっていたら突然地獄へ突き落されちゃって…。

あんな惨めな想いをする位ならば、こうやって近くに居れるだけで良い。

もっともっと近くにいたら、もっともっと色々な事が知りたくなっていって、欲張りになって行く。だから幕を引くのはこの辺りで良い。
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