天使になりたかった悪魔
「あのね、悪魔が天使になるのは無理なの。
天使が悪魔になれないのと同じでね…。」
そこで少し間が空いたので、僕は一言、
「知っている。」
と、答えた。
天使は困ったように、続きを話した。
「だから、その夢が叶うことはないわ。残念だけれど…。」
いつもの僕なら、ここで泣き出すところだった。
でも、今日の僕は僕じゃなかった。
きっと、本物の天使が目の前にいることと、夢への欲望が最高潮に達していたからだ。