天使になりたかった悪魔
僕は一度だけ、僕の夢を他の悪魔に語ったことがある。
「僕は天使になりたい。」って。
そしたらそいつ、何て言ったと思う?
黄ばんでいる、ぐちゃぐちゃに並んだ歯をのぞかせて、ニタァと口を広げて、こう言ったんだ。
「悪魔は一生、悪魔だ。どんなに望んでも、無理に決まってんだろ。
お前は悪魔だ!もっと悪魔らしくしろ!!」
だってさ。
そいつは、泣き出した僕を見て、声をあげて笑った。
悪魔が泣くなんて、想像できないだろう?
でも、確かにその時、僕は泣いたんだ。
涙の色は天使と違って、澄み切った空色じゃなく、濁った赤紫の血のような涙だったけど…。