お前は俺のものだ〜俺様御曹司の強引な熱情
第三章 裏切られた気持ち
私は目黒くんのデートの誘いは断って、社長のマンションに帰った。

コンシェルジュの山本さんが出迎えてくれた。

「つばさ様、お帰りなさいませ」

「ただいま戻りました」

私はカードキーでロックを解錠した。

婚約者いたんだ、そうだよね。
それじゃ、私はここに居てはいけないんじゃないの?
そんな事考えていたら社長が帰ってきた。

「つばさ、ただいま」

「お帰りなさい」

そして社長は私を抱きしめた。
社長の顔が近づき、キスされそうになった瞬間、私は顔を背けた。

「つばさ? どうかした?」

社長は不思議そうに私の顔を覗き込んだ。

「私、やっぱり目黒くんが好きです」

「えっ?」

社長は驚いた表情を見せた。

「ごめんなさい、すぐ出て行きますから」

「ちょっと待って、目黒になんか言われたのか?」

図星を突かれ戸惑いを隠せなかった。

「やっぱりそうか、何を言われたんだ」

あ〜、どうして私はすぐに心を見抜かれてしまうの?
もうごまかせないよ。

「つばさ、ちゃんと話してくれないと、誤解のままになっちゃうから」

私は覚悟を決めて話し始めた。

「社長、婚約者いるんですか」

社長は心当たりがある様子で俯いた。

「やっぱりいるんですね」

「つばさ、ごめん、確かに俺には婚約者がいる」

谷底に空き落とされた程のショックを受けた。

「じゃあなぜ私と結婚を視野に入れているなんて言ったんですか?」

「つばさと結婚したい気持ちに嘘はない」

社長は真剣な眼差しで私を見つめた。

「でも社長には婚約者がいるんですよね」

「ああ」

「社長の言ってる事理解出来ません」

私は社長に背を向けてマンションを飛び出した。

「つばさ!」

社長は私の背中に声をかけたが、その声は
どんどん小さくなり、聞こえなくなった。
追いかけて来てくれないと悟った。


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