【短編】止まない雨と恋の始まり


その日は閉店になるまで店にいて、外で彼を待っていることにした。

するとあの雨の日のように彼は現れた。


「傘、本当にありがとうございました」

そう言って改めて傘を返す。


「本当は」

店員さんは言葉を詰まらせながら下を向いた。


「え?」

「傘は口実で…」

店員さんの声が小さくて、ちゃんと聞き取れない。


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