完璧な彼が初恋の彼女を手に入れる5つの条件

「そういえば、未来ちゃんこそ、彼氏作らないの?」

 慌てて話題を変えようとする。
 未来に彼氏がいるという話は聞いたことが無い。

 彼女は目がクリっとした色白さんで可愛らし顔立ちをしている。
 今日も薄いパステルピンクのサマーニットにホワイトベースにネイビーの上品な小花柄のAラインスカートを可愛らしく着こなしている。
 
 落ち付いた色味のシンプル寄りのコンサバ系を好む桜衣とはタイプが違う。
 雰囲気も清楚なお嬢様という感じで、男性社員からの人気もかなり高い。

 現にこうしてふたりで飲んでいても、店内にいる男性達からこちらに伺うような視線が。
 
 そう言うと「それは私じゃなくて桜衣さん綺麗でスタイルが良くていい女だからですよ。なんでわからないかな~」と、ぶつくさ言っている。

「私にとって、未来ちゃんは可愛い子の代名詞みたいなものなんだけど。どういう男性が好みなの?」

「もう、桜衣さんたらっ嬉しい事言ってくれますね」

 未来は素直に笑う。

「私の好みですか?うーん、そうですねぇ……」

 ふと、未来の表情がとても優しいものに変わった気がした。

「少なくとも結城さんみたいなタイプじゃないから安心してください!」

「ねぇ、未来ちゃんこそ上手く誤魔化そうとしていない?壁を感じるなぁ」

「えー、そんな事ないのに」

 ふたりで顔を見合わせて笑う。
 
 壁は存在するのかも知れない。
 
 でも社会人になってから、こうして気安く笑い会える相手が出来たことは、素直に嬉しいと思う。

「そうだ、今度、結城氏の社外向けセミナーやるんですよね――次、何飲みますか?」

 追加注文するためにドリンクメニューを見ながら未来が言う。早々に3杯目のような。

「ウーロン茶にしとく――そうなのよ。その準備もあってまたバタバタしそう」

 桜衣の2杯目以降はいつも通りソフトドリンクだ。

 来月、陽真を登壇者とした社外向けの講演会を開く事になった。
 
 講演の仮題目は『これからのオフィスや働き方~欧州のトレンドから』だ。
 陽真の欧州での活動実績を知った副社長から講演会を開催するよう勧められたらしい。
 
 営業活動の一環となり、法人のお得意先を中心に幅広く招待する予定だ。
 海外営業部と法人営業部合同で主宰するが、なぜか桜衣が中心となり準備を進めるように言われている。

 ――そう。まずは仕事だ。

 明日からまた忙しくなる。余計な事を考えず、目の前の仕事をしっかりとこなして行こう。

 彼のペースに流されちゃいけない。

「未来ちゃんたちにも手伝ってもらう事になりそうだけど、よろしくね」

 もちろんです!と未来は両手に拳を作って答えてくれた。
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