かりそめお見合い事情~身代わりのはずが、艶夜に心も体も奪われました~
「でも、ちょっとした拍子に、免許証を見られちゃったの……問い詰められて、もう、嘘はつけないと思った。……つきたくないと、思ったんだ……」
「……くれは」
「本当のことを言ったら、きっとこうなるってわかってたけど……でも、いざ実際にその通りになると、思ってた以上にキツいなあって。……全部、自業自得なんだけどね」


きっとくれはは、はじまりを間違えたことを本気で後悔していた。
瀬古さんに、恋をしてしまったからだ。

ポツポツと語られる言葉たちは、私にとっても身に覚えがありすぎるものばかり。
今のくれはの姿は……いずれ訪れる、未来の私そのものだ。
だからこそ、こんなにも涙に濡れた顔で無理やり笑みを浮かべるくれはを見るのはつらかった。


「……ことはも、同じなんでしょ?」


不意に話を振られて「え?」と気の抜けた声が漏れた。

そんな私を見て、くれはが苦笑する。


「瀬古さんが好きな私と同じ。奥宮さんのこと、好きなんだよね?」


きっと何かしら察しているだろうとは思っていたけれど、こんなにキッパリと断言されて一瞬言葉に詰まった。

観念して、うなずく。


「……うん。私、奥宮さんのことが好き」
「やっぱりね。今日だって友達と会うなんて言ってたけど、相手は奥宮さんだったんでしょ?」
「気づいてたの?」
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