微温的ストレイシープ
「え、まさか」
「そのまさかだ。じゃあな」
「ええ!まって待って待って!!」
さあっと全身の血が引いたのは、廉士さんがわたしの手を振りほどき……
ガラス張りに突っ込んでいったから。
──────ここから飛び降りる気だ!!
ガラスの割れる大きな音がした。
藍に吸い込まれていくその姿。
突き破られた窓にかけ寄り、どれだけ手を伸ばしても。
落ちていく廉士さんをつかむことはできなくて。
「うそでしょ……」
そんな声だけが廉士さんを追いかけるように、落ちていったのだった。