微温的ストレイシープ


「……しょうがねぇな。貸せ、俺が持っててやる」



結局、廉士さんが預かってくれることになって。


申し訳ないな、と思う反面その優しさに甘えてしまう。

もうじゅうぶん迷惑をかけているのに。

わたしももっとしっかりしなきゃ。



ネックレスを上着のポケットに突っ込んだ廉士さんは後方を確認する。




「振り切ったみたいだな」



たしかに、もう誰かが追ってくる気配はなかった。

ほっと胸をなで下ろす、けど。



安心した途端、乱れた呼吸が急にせりあがってくる。



「けほ……っは、ごほっ……」



バレたくないなぁ……

また、面倒なやつって思われちゃう。


でも思い通りにはさせてくれないらしい。


最初はかるくだったけど、だんだん大きく咳き込むから不審に思ったんだろう。




「キツかったか?」

「い、いえ……だいじょうぶ、です」



自分の身体なのに。

制御できないもどかしさすら沸き起こってくる。


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