片想い歴、10年。
みこちゃんに頼ることは諦めて、紘基を説得しようと体の向きを変えたとき、ハルさんが紘基に近づいて、紘基が私を引っ張った。



バランスが崩れて、ドタッと尻もちをついてしまう。



うぅ・・・痛い・・・。



さすがにこれには驚いたのか、ハルさんも紘基も動きを止めて、私を心配そうに見る。



「奈津、大丈夫?いきなり引っ張ってごめんな。」



「ちょっと痛いけど大丈夫。」



陽「紘基。」



「何だよ・・・?!?!」



陽「引っかかった〜!!警戒心が足りないよ!」



本気で嫌がる紘基と、面白がってヒートアップするハルさんに、みこちゃんが近づいていく。



心なしか、纏っているオーラがどす黒いものに変わったような・・・。



異変を察知した紘基が、顔を青ざめてみこちゃんを見る。



未「2人とも?一旦そこに座ろうか?」



さっきまでのみこちゃんの声より数段低く、怒りを纏った声が部屋に響いた。



2人が正座をするのに合わせて、私も思わずキュッと身を縮こめる。



みこちゃんが本気で怒るとこうなるんだ・・・。



こ、怖い・・・・・。



未「あのさ、もう夜中なの。近所迷惑だとか、そういうことも考えてくれる?なっちゃんも尻もちついてて、それでもまだふざけるの?」



静かだけど、確かに怒りが含まれた言葉に、2人がどんどん青ざめていく。



未「大の大人がゴーヤごときでふざけないこと。・・・わかったよね?」



コクコクと思いっきり頷いた2人を見て、みこちゃんはさっきまでの雰囲気に戻った。



未「なっちゃんごめんね?ちょっと怖かったでしょ?」



「あはは・・・。」



怖かったなんてレベルじゃない。



この世で1番恐ろしいものを見た気がする・・・。



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