片想い歴、10年。
自動販売機の前に着くと、寺内先生が早速お金を入れた。



何を買うんだろう・・・。



私も、何飲もうかな・・・。



ぼんやりした頭で考えていると、おい。と声がかかった。



「・・・どうしたんですか?」



「何飲む?俺が奢る。」



「え!それは悪いですよ。お金も持ってますし。」



「こーいうときは素直に甘えとけって。俺が好きでやることだから。」



「・・・じゃあ、お言葉に甘えて。ん〜、何にしよう・・・。」



「眠たいならコーヒーとかは避けとけよ?9時にはカンファレンス始まるし。」



「え〜っと・・・レモンティーにします。」



「いつも飲んでるプリンシェイクはいいのか?」



「何で知ってるんですかー!夜中だから飲みません〜!」



そりゃ、プリンシェイク飲みたいなって一瞬思ったけど!!



さすがにこんな夜中にプリンシェイクは飲まないよ!医者の不養生!!



何故かツボって笑い続ける寺内先生を軽く睨む。



でも、少し元気が出てきて、いろいろあってぐちゃぐちゃしていた頭がスッキリした。



これも寺内先生のおかげだね。



仮眠室に2人で入ると、寺内先生が2段ベッドの下、私が上に寝転がった。



しばらくボーッとしていると、段々瞼が重たくなってきた。



眠りに落ちる直前に何故か、おやすみ。と声がした様な気がした。



寺内先生がその後、私にそっとキスをしたことにはもちろん気づかなかった。


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