捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 涼さんはたしかにそう言った。けれど私にそういった記憶はない。

 だから、ぴんと来てしまった。

「『また』の一回目を、結婚式の日に知ったの?」

 これまでどうして自分が捨てられたのかわからなかったけれど、涼さんのこのショックの大きさを見ていると仮説に間違いはなさそうだった。

「教えて、涼さん。あなたは私がなにをしたと思っているの?」

「今、その話をするときか?」

 たしかに、と思い直す。

 過去が垣間見えたことで冷静になった頭は、今回の件についても忘れそうになっていたとある真実を思い出してくれた。

「私はやってない。結婚式が失敗したことを知っているのは、もうひとりいるの」
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