捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 私ひとりで鳴を育てるのにも限界があるだろうし、なにかのときに鳴が我慢しなければならないような事態には絶対したくない。

 そしてそうなったときはきっとまた芽衣子に迷惑をかけてしまう。ただでさえ散々巻き込んでしまっているのだから、これ以上は避けたかった。

 その点、涼さんと結婚してしまえば悲しいことにすべてが解決する。

 日本を代表する、世界にも通じるような大企業の社長。父親としての適性はともかく、財力と、それに付随する環境は筆舌尽くしがたい。

 少なくとも経済面を不安に思うことは一切なくなるわけだった。

 そこまで考えて、自分が嫌になる。

「鳴のためって言って、結局心配になるのはお金のことなんだよね。……うちの母親みたい」

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