ウルルであなたとシャンパンを

「…………10万?」

提示された金額が、やまびこのように香耶の頭の中で響き渡った。



……10万……



それが、私の2年間の値段?


私の価値は、10万円てこと?


……10万……


それが、私を2年間、だまし続けたことに対する、対価なの?



「……10万……?」

香耶がつぶやいたことで、押せばイケると思ったのか、男が前のめりになって言う。

「うん!10万くらいなら、すぐ渡せるっ」

男の語尾が上がったのは、下げた頭を揺らされたせいだろう……物理的に。

目の前に、だらんとだらしなく垂れた男のネクタイを掴んだ香耶は、そのままの勢いを殺すことなく、力任せにに引っ張っるとヤンキー顔負けの高圧的な目で相手を睨んだ。

突然のことに言葉を失う男の顔を間近で見つめて、香耶は挑発的にせせら笑う。

「……10万?ずいぶん安く見積もってくれるじゃない」


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