ウルルであなたとシャンパンを

日本よりも広い部屋に、大きなベッド、落ち着いたインテリアの部屋から、もうちょっとステキなバスルームを想像していたけれど。

中は意外と普通の……ビジネスホテルみたいな感じのバスルームだった。

トイレと一緒になったバスルームは、香耶の知っている日本のビジネスホテルと、サイズもそれほど変わらない。

狭い台の上に置かれたトレイに並んだアメニティも、期待していたほどではなく……とても簡素で、もちろん入浴剤はなかった。

なんだかちょっとがっかりしながら、お湯を入れ、お風呂に入るときには必須のタオルを探して首を回す。

「……あれ?……あ、ここか」

思ったよりも2段くらい高い位置にあった金属製の棚に置かれたバスタオルを取ろうとして、香耶の手が宙をかく。

「なんでこんな、高いとこに……」

ぶつくさ文句を言いながら、バスタブのふちに乗って、どうにか2枚のバスタオルを取り、バスルームを出る。


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