ロマンティシズム
 これは並んで座る姉弟の所業だろうか。

思うと、むちゃくちゃに悔しくなった。

眼の下をうっすらと赤くして、いい感じに酒入り美人になっている日和と、いつもにまして能天気な笑顔に崩れ切っている日向。

 負けられない。

ここは座興にひとつ、オモシロイことを言わなくては、瀬戸啓明の一の弟子(自称)の名が廃る。

 雪野は考える。

しかし日が暮れてからというもの、常に酒瓶を手にしていた娘の脳にそんな余力があるわけもなく、むしろ理性エリア壊滅と言ってもいい事態が近かった。
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