死神に誘われて
「ノーチェ、大丈夫?」

「……ルク……」

僕の目の前に立つルクは、両手で刀を押えてる。父さんはルクをじっと見つめた後、口を開いた。

「……誰かと思えば……お前、極夜の幼なじみの雪也(ゆきや)だな?」

「……っ!」

父さんの言葉に、僕は驚く。ルクは、その言葉に否定することなく、黙ったままだ。

……そうだ。ルク、どこかで見たことがあったなって思ったら、僕の幼なじみだ……。

ルクはその場から飛び退いて、父さんと距離を取る。

ルクは、保育園の時に転校してったんだ。それで、僕が死ぬ数年前に、事故に巻き込まれて亡くなったんだっけ。

「ねぇ……いい加減、地獄に堕ちろよ。父さん」

僕が言うと、ルクとエメルは驚いた顔で僕を見た。

「父さんは、何がしたいの?僕の家を放火して、母さんを自殺にまで追い込んで……!!僕の家に放火したの、お前なんだろ……」

刀を握る手に、力が入る。不意に思い出したんだ。前に見たニュースを。

前に指令で現世に来た時、放火して1人の男の子が亡くなったというニュースを見た。その犯人はその男の子の父親だと分かったけど、捕まえられてないと。

その時の映像は、生前僕が住んでた家だった記憶がある。あの時は生前の記憶が無かったから、興味も持たなかったけどね。
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