死神に誘われて
「……え?」

「勝手なイメージだけど、1番上の立場って強そうにしてないといけないかな……って。でも、最近……ありのままの自分で良いんだって、気付かされて……」

恥ずかしいのか、死神長は顔を赤くした。母さんは「全く変わってないね」とニコニコ笑ってる。

あれ……死神長って、意外と話しやすい……?

「だから、皆の前でも……素の自分でいる事にした」

死神長は、そう言って柔らかく微笑んだ。

「……違和感しかない」

「慣れてよ……さて、ノーチェ。皆のもとに向かう前に一つだけ……」

いつもの表情に戻って、死神長は僕を見る。

「……ノーチェ、僕とお前のお母さんの3人で一緒に暮らさない……?お前の母さん、僕と一緒に暮らしたいらしくて……それなら、こうしようかって話になって……勝手に進めてごめん!ノーチェは、どうしたい?」

「……決まってますよ。死神長……一緒に暮らしたいです。死神長を、父さんと思っても良いですか?」

僕が微笑むと、死神長は「え……良いけど……その代わり、敬語無し!」と笑った。

「……分かったよ、父さん」

死神長にそう言うと、死神長は「何だか恥ずかしい……」とまた顔を赤くする。死神長が父さんで、生前の父さんは……ただの物の怪だ。

「……やっぱ、死神長って呼びたい……僕も呼ぶの恥ずかしい……」

「それでいいよ。それじゃあ……皆のもとに向かうよ!」

死神長の言葉に、僕は深く頷いた。
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